青木 麗

No.4

マヤさんと暮らしていて、いろいろ気苦労はあるかと思いますが、
今まで一番大変だと思ったことは何ですか?
アンディさん
そりゃあ、あんた、あの子と暮していて気苦労なんてもん じゃないよ。芝居のこと考えはじめたら、魂抜けたみたい に、ぼ~っと、どっかイッちゃってるし。
魚は焦がすし、味噌汁は沸騰させるし、掃除させたら途中で 掃除機かかえたまま、考え込んでるし…ね。
そうだねえ、一番大変だと思ったのは「忘れられた荒野」の 狼少女ジェーンを演ったときかなあ。
アパートに帰ってきたら、部屋中に食べ物やらゴミやらが 散乱してるし、四つ這いになって唸ってるし…。
もうそのときは、狼と一緒に暮してるんだ、って思い込むしかなかったね。

新しい芝居やるたびにあの子、別人格になるからね。
いま「紅天女」の稽古に入ったばかり。
いったいどうなるんだろうね、これからのわたしの生活…。

 

No.3  麗さまは宝塚の男役スターの素質があると思います。 宝塚に進もうと思ったことはないのですか? もしや歌とダンスがダメ…とか…?
夢花 そらさん
よっく聞かれるんだよね~、この質問。
そのたびに、人生誤ったかな?ってちょっと考えてしまう。
歌もダンスも好きだし、最近ミュージカルにも凄い興味ある。
やってみたいな、って思ってるんだ。
でも、もともと芝居が好きで、本格的な舞台役者になりたくて、この道に入ったんだ。
だけど、「石の微笑」のペテン師ピオ役に、「真夏の夜の夢」の貴公子ライサンダー役と、男性役を演(や)るたびに人気はうなぎのぼり。
熱狂的な女性の声援に、コワいことに最近ちょっと快感を覚えはじめて…。
いっそこのままコッチ系の道で…って、わあああ~~、冗談じゃないぞ~!! 
        いつかぜったい、みんなが溜め息つくような美女役を演じて、周りをあっと驚かせてやる。
って、なんだか情けない夢だな~。トホホ…だよ、まったく。 。

 

No.2
いつも麗しいあなた様(≧▽≦)本当に女性なのか未だ疑問です。
今まで演劇をしてきて、 宝塚からお誘いは来ませんでしたか?
また、入ろうと思いませんでしたか? あなた様なら トップに立てると思います!
ブブ2号さん
うっわ~!同じような質問が、けっこうたくさんきてるんだけど、
う~ん、まだ宝塚からお誘いはきてないな~。
あんまり多くの人からそういわれるので、最近ちょっと気になって。

“道”誤ったかなあ…って、人生考えなおさせるなよ…!こら!

わたしはわたしの道を行くのみ。

あ、それからブブ2号さん、
はたまた同じ疑問を抱く多くの方々に一言。
わたしはだーーー!!

 

No.1

麗さんは以前、『大学か・・・行けるものなら行きたいけど。』 と、何か過去にありそうなことを行ってましたね。 よろしければ、麗さんの生い立ちなどお聞かせください。
あみぃご。(他にも多くの方から同じ質問をいただきました。)
青木麗です。う~ん、そんなこと憶えていたのか。

ちょっとウチ、複雑でね。
父親が事業家で、政界とも関わりの深い人間なんだ。

子供の頃母親が亡くなって、それまで叔母として面倒をみてくれていた女性(ひと)がいきなり父と結婚して義母になって…。

父親は、わたしが赤ん坊のころから忙しい人でね、一緒に食事することもあまりなかったし、いつもなんだか距離があったの。

でも叔母が義母になって、それがなぜか納得できなくて、叔母や父との関係がギクシャクするようになったんだ。ほとんど口も利かなくなって…。

子供心に、叔母は母が生きている頃から父と深い関係だったんじゃないか、って疑ってた。
いまも本当のことはわからない。
祖母は真相を知っているみたいだったけど、黙ってなにも云わなかった。

そのうち妹と弟が生まれ、やっと家庭らしくなってきた。
妹も弟も可愛くてね、姉のわたしになついてた。
でもそれがなんだか父の気に入らなかったみたいなんだ。
気がついたらわたしだけが家の中で浮いていた。

小学校6年の時かな、学校の記念祭でお芝居をして、とても楽しくて、みんなが上手いって褒めてくれてさ、もっと演じたくてある有名な演劇研究所に入ったんだ。
中学、高校も演劇部。
家にいるより、お芝居している時間の方が長かった。
数々の演劇コンクールで賞も獲って、将来はぜったい役者になろうと思ってた。

妹や弟はわたしの熱心なファンでね、歳も離れていたので〝憧れ〟もあったのかも知れない。
で、弟も舞台をやりたいって言い始めたんだ。
こっちはミュージック系。歌って踊りたいってね。
芸能プロのオーデションまで受けに行って見事合格。

でもね、わたしの時は無視していた父が今度は大反対。

弟には自分の跡を継がせたいと思っていたからね。

まだ子供だから今は好きにさせた方が良い、って祖母は庇ってくれたけど、父はわたしの影響を 恐れているようだった。
わたしがそそのかしたんだろうって。
あげく、わたしが演劇をやることに大反対し始めた。
学校も演劇研究所も権力者の父のいいなりで、わたしは演劇を辞めさせられそうになった。

そんな頃、月影先生に出会ったんだ。
で、家出同然で「劇団・月影」に飛び込んだってわけ。

父は自分の顔に泥を塗った、って激怒しているらしいけど…。
でもわたしが家を出たことに一番ホッと安心して喜んでいるのは父じゃないのかな。
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