姫川歌子







No. 

こんにちは歌子さん
ちょっと、聞きたいことがあります。いいですか?
以前に歌子さんも、紅天女を目指していましたね。
だけど今、あなたの娘の亜弓さんと、亜弓さんがライバルと認める
北島マヤさんが「紅天女」の修行中ですよね。
今二人で競っている最中ですよね。けど、いいんですか、あっさり諦めて?
本当は歌子さん自身も、「紅天女」を演じたいと思っているでしょう?
なぜ、亜弓さんに権利を譲ったですか?
亜弓さんの方が才能があるわけですか?
月影先生に才能はないって言われたんですか?
教えてくださいな、歌子さん。

M・HARAさん


 



まあ、わたしのことを気にかけてくださるの?
ご親切なこと。
ええ、「紅天女」はわたくしの夢でしたわ。
でも、月影先生が後継者と認めたのは、わたしの娘と北島マヤ。

権利を譲るだなんて、とんでもない。
わたくしには始めから権利などありませんのよ(笑)。
もちろん月影先生から「才能がない」と言われたからでもありませんわ(笑)。

月影先生は「紅天女」役の女優を、ご自分の思い通りに育てた
かったのですわ。それには若く才能のある少女が必要だった。

今は亜弓が誇らしくさえ思いますのよ。
わたくしの夢だった「紅天女」を、娘の亜弓が演じる日がくるなんて…!
試演がどうなるかわかりませんけれど、今は亜弓が「紅天女」役に
選ばれることを誰よりも願っていますわ。
          
母親としてのエゴではなく、亜弓自身の人生のために…!         
          

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